森見登美彦氏の新刊、「四畳半タイムマシンブルース」が発売されました!
非常に楽しみにしていたので、発売日に即購入しましたよ!(^^)!
まだ買おうか迷っている人のために、参考になればと思い、感想を書きます!
本記事の流れ
・本の内容紹介:古き良きタイムマシンものでした!
・個人的おもしろポイント3選
・合わせて読みたい書籍の紹介
本の内容紹介:古き良きタイムマシンものでした!
「四畳半神話体系を舞台に、古き良きタイムマシンもののような出来事が起きたら」
本書はそんな、想像しただけで魅力的な内容の小説です!
※「四畳半神話体系」を知らない方のために…
“私は冴えない大学3回生。バラ色のキャンパスライフを想像していたのに、現実はほど遠い。悪友の小津には振り回され、謎の自由人・樋口師匠には無理な要求をされ、孤高の乙女・明石さんとは、なかなかお近づきになれない。いっそのこと、ぴかぴかの1回生に戻って大学生活をやり直したい!さ迷い込んだ4つの並行世界で繰り広げられる、滅法おかしくて、ちょっぴりほろ苦い青春ストーリー。”
引用元:Amazon販売サイト(https://www.amazon.co.jp/dp/B0093GE7O2/ref=dp_olp_1)
さて、四畳半タイムマシンブルースの内容を見ていきましょう!
8月12日の昼下がり、下鴨幽水荘の209号室で上裸の「私」と上裸「小津」が向かい合っているところから、物語は始まります。
“「おい、 小津」
「……お呼びで?」
「生きているか?」
「どうぞ僕のことなんぞおかまいなく。もうじき死にますから」そう応える相手は半ば白目を剝いている。不健康そうな灰白色の顔は汗に 濡れてヌラヌラとした 煌めきを放ち、あたかも生まれたてホヤホヤのぬらりひんのごとし。”
引用元:森見登美彦(2020). 『四畳半タイムマシンブルース』 角川書房
小津は相変わらず健在でした!笑
「私」独特の語り口ももちろん健在ですよ~!
“小津と私が出会ったのは一回生の春、妄想鉄道サークル「 京 福 電鉄研究会」であった。あれから二年半、恥ずべき青春のありとあらゆる暗がりに小津という男が立っている。前途有望の学生を不毛の荒野へと導くメフィストフェレス。リモコンにコーラをこぼしたのも計算の内ではあるまいか。なにしろ他人の不幸で飯が三杯喰える男なのである。”
引用元:森見登美彦(2020). 『四畳半タイムマシンブルース』 角川書房
今回「私」が選んだサークルは「京福電鉄研究」なる”妄想系鉄道サークル”だそうです(^^)
このお話も、どうやら平行世界の一つらしいですね。
小津がリモコンを壊したせいでエアコンが動かなくなった。そのため灼熱の四畳半で2人とも上裸。という状況のようです。笑
そして、我らがヒロイン明石さん登場です!!
“振り向くと、開け放ったドアの向こうに明石さんが立っていた。左肩に大きなバッグを抱え、右手にはラムネの 壜 を持っている。アサガオの観察に余念のない小学生のごとく、彼女は 真摯 な 眼差しで我々を見つめていた。
「仲良きことは阿呆らしきかな」
彼女はそう 呟いて、ラムネをグイと飲んだのである。”
引用元:森見登美彦(2020). 『四畳半タイムマシンブルース』 角川書房
さすが明石さん、独特な存在感があって魅力的ですね!
“明石さんは我々の一年後輩にあたる。学内映画サークル「みそぎ」に所属し、そのクールな 佇まいとは裏腹に、まったくクールではないポンコツ映画を量産する愛すべき人である。同じ映画サークルに所属する小津によると、サークル内でも明石監督の評価はあやふやであるという。他人が一本撮っている間に三本は撮るというプロフェッショナルな仕事ぶりに対しては誰もが賞賛の言葉を惜しまないが、その作品のポンコツぶりに触れる段になると誰もが 慎ましく口をつぐむのである。”
引用元:森見登美彦(2020). 『四畳半タイムマシンブルース』 角川書房
この世界の明石さんは、映画サークル「みそぎ」で映画監督をしながら、樋口師匠の弟子もしているようです。
「四畳半」的ワードが次々に登場しますね!(^^)
さて、話はこの前日、8月11日に遡ります。
下鴨幽水荘で映画を撮影する明石さん。
出演者の中には、樋口師匠、城ヶ崎さん、相島さんなど、お馴染みのキャラクターたちも登場します。
歯科衛生士の羽貫さんも見物に来ていますよ!
“曲者 ぞろいの出演者たちは誰ひとり言うことをきかなかった。西郷隆盛役にあくまで不服な城ヶ崎氏はことあるごとに 台詞 を書き換えたがり、相島氏は内面の表現にこだわって撮り直しをしつこく要求し、白塗りでのたうちまわる小津は気持ち悪すぎて撮影に堪えず、樋口氏は「ニッポンの夜明けぜよ!」以外の台詞を断固として言わない。”
引用元:森見登美彦(2020). 『四畳半タイムマシンブルース』 角川書房
相変わらず皆さん無茶苦茶なようです。笑
さて、あんまり細かく紹介してしまうと、読んだときの楽しみを奪ってしまうので、ここからちょっと飛ばしますねー!
8月11日は、映画の撮影を明石さんの大胆な手腕でなんとか終えて、みんなで銭湯に行ったり、「私」が明石さんを「五山送り火」に誘おうとしたけど怖気付いて、「戦略的撤退」を選んだりします。
最後に小津がこぼしたコーラで「私」の部屋のエアコンが使用不可能になりました。
さて、話は8月12日に戻ります。
下鴨幽水荘には、「私」、小津、明石さん、樋口師匠、城ヶ崎さん、羽貫さんという面々が自然と集まっていました。
ふと城ヶ崎さんを見ると、何故か廊下の向こうでしゃがみこんでいます。
“そちらへ近づいてみるとヘンテコなものが目に入った。煮しめたように黒光りする古畳が一枚、デンと廊下に置いてある。それもただの畳ではない。アパートの畳を一枚剝がして改造を施したとおぼしく、ひとり掛けの赤い座席が真ん中に据えつけられており、その前にはレバーやスイッチのついた操作パネルまである。
「おまえら、これ何だと思う?」
私たちは城ヶ崎氏のまわりに集まった。”
引用元:森見登美彦(2020). 『四畳半タイムマシンブルース』 角川書房
なにやら怪しいものを見つけたようです。いったい何なのでしょうか?
“私だけでなくその場に居合わせた誰もが、某国民的名作マンガを思い浮かべていたにちがいない。あの青くて丸々としたネコ型ロボットはこれによく似た道具に乗って遠い未来からやってきた。しかしそれはあまりにもひねりのない発想すぎて、指摘するのがためらわれた。しばし無言の睨み合いが続いたのも無理はない。 やがて明石さんがぽつんと言った。
「タイムマシンだったりして」
恥じらうように小さな声だった。
物干し台の風鈴がちりんと鳴った。夏であった。”
引用元:森見登美彦(2020). 『四畳半タイムマシンブルース』 角川書房
そう、一行が見つけたのはタイムマシンらしきものでした!
SF好きにはたまらない展開です(^^)
この後一行は、エアコンを救うためにタイムマシンを使おうとしたのですが、それが大変な事態を招いて…
内容紹介はここまでにします!!
続きは是非ご自分の目でお確かめ下さい!!(^^)
個人的おもしろポイント3選
読んで感じたおもしろポイントです!
・謎の新キャラ、田村くん
・タイムパラドックスを巡るアレコレ
・「私」と明石さんの恋路やいかに!?
□謎の新キャラ、田村くん
四畳半タイムマシンブルースには、謎の新キャラ、田村くんなる青年が登場します。
“「あのう、すいません」 廊下の向こうから遠慮がちに呼びかけてくる声がした。 我々が口をつぐんで一斉に振り向くと、相手はいささか 気圧された様子だった。マッシュルームのようにつるり、んとした髪型、半袖の白シャツの裾をきっちりズボンに入れた 木訥 な服装。先ほども姿を見せたモッサリ君である。 すると相島氏が親しげに呼びかけた。 「なんだ、君。まだこっちにいるの」「お知り合いなんですか?」
(中略)
「おいおい、それはないでしょう。昨日あんなに喋ったじゃないの」 「僕、あなたに会ったことないです。それに小津という人のいとこでもないです」 そしてモッサリ君は聞き捨てならぬ一言を付け加えたのである。 「だって、そもそも時代が違いますから」”
引用元:森見登美彦(2020). 『四畳半タイムマシンブルース』 角川書房
明らかに怪しいですね!笑
タイムマシンとどういう関係があるのでしょうか??
ネタバレにならないよう、詳しくは書きません!(*^^*)
しかしこの田村くん、物語の大事な部分を担ってくるキャラクターですので、注目して読んでみてください!!
□タイムパラドックスを巡るアレコレ
時間旅行と言えばタイムパラドックス!
本書では、そんな王道のSF展開を楽しむことができます!!
「バック・トゥー・ザ・フューチャー」や「時をかける少女」なんかが大好きな僕には、最高すぎました(*´ω`*)
タイムマシンで過去に戻ってしまった一行は、タイムパラドックスを回避することができるのか!?
そんな視点でもちゃんと楽しめるお話になっていますよ!
森見登美彦氏の多才さに脱帽です。
□「私」と明石さんの恋路やいかに!?
「四畳半神話体系」では、毎回なんだかんだで明石さんと結ばれた「私」。
今回の物語の中では、無事に恋を成就させることがができるのでしょうか!?
内容紹介で述べたとおり、「五山送り火」見物に誘えなかったので、その時点で黄色信号かも??
「私」の「語るに値する」恋路の行く先。見届けてください!
合わせて読みたい書籍の紹介
①四畳半神話体系
名作です。
②夜は短し歩けよ乙女
森見登美彦氏の作品の中で、1番人気はこれだと思います。乙女の奔放さと、振り回される主人公の奮闘が、おかしくも愛おしくなります。
③ペンギンハイウェイ
森見登美彦氏のSF作品と言えば、これ!
海辺の街に突如現れたペンギンと、彼らを研究し始める小学生、青山くんの不可思議な物語です。
この記事をきっかけに、森見登美彦ファン、読書好きの人が1人でも増えますように。
以上です!